「あと四ヵ月で、合格ラインまで持っていくのは逆立ちをしても無理だ」との声も聞こえそうですが、私の指導した生徒のなかには、秋からの猛勉強で模試D判定から合格を勝ち取った受験生が何人もいます。時間を有効に使いスピードと集中力を入試本番まであと四ヵ月余り。「四ヵ月しかない」「まだ四ヵ月ある」。とらえ方ひとつで、受験勉強に取り組む意欲も大きく異なってきます。もちろん、「まだ」と明るいチャレンジ精神で、より一層勉強に励むべきですが、私は一歩進めて、「四ヵ月は、十二ヵ月あることだよ」と、受験生を励ましています。どういうこと?首を傾げている人も多いと思いますが、計算式はすこぶる明快です。今までよりも勉強量を一・五倍、スピードと集中力を二倍に増やせば、四×一・五×二=十二。つまり十二ヵ月分の勉強量が生まれる計算が成り立つわけです。数字上のマジックでもありません。
中学受験は子どもが幼いから親がリードしなければならないですし、そうした部分があります。が、最後に伸びる子は、受験を自分自身の問題、自分自身の責任と意識した子なのです。親が決めて、そのとおりやらせるのではなく、できるだけ早いうちに。子ども自身に「受験するのはお母さんではなく、自分なのだ」という気持ちにさせることが大事です。そのためにも、親が何でも先に手を打つことを止めてはどうでしょう。「今の成績ではどこにも受からないわよ」「○○学園の方がいいんじゃない?」「△△の『過去問』買ってきたわよ」「××の学校説明会に行ったら」……と、つい言いたくなるものです。受験は時間に限りがあるだけに、焦りの気持ちから待てなくて言ってしまうのでしょう。じっと我慢するのはつらいですが、我慢しないで指図してしまうと、子どもはいつまでたっても自分のこととは捉えられないでしょう。時間はかかりますが、日々の細かなことから自分でやらせるようにしないと、何事も親に依存する子どもになってしまいます。自立心がない子が、自分自身の問題と考えるわけがありません。
ある大学に入りたかったが、ある学部に行きたかったが「親が反対したから行けなかった」と言う人がいる。親が何と言おうと、本当に入りたいなら、そこを目指したはずである。「親が」と言う人は「絶対にここに行きたい」という学部がない。進路についての悩みには、あまりにも「格好をつけた悩み」が多すぎる。みんな真剣な「ふり」をして、本当はあまり真剣に考えていない。「真剣になる」ということは「親が」ではなく「自分が」と認めることである。また「私立大学に行きたいが、経済的事情から国公立に行く」という人もいる。本気でその私立大学に行きたいなら、奨学金を探す。あるいは、働いてお金を貯めてから入学する。そうして働いている過程で、自分の進路はこれで「よかったんだ」と納得できるときが来る。あるいは「これでいいかな」と思うこともある。それをしないで「まあ、しょうがない」「家にお金がないから」とか言う。そういう言い訳はやめる。「本気で、あそこに行く気がなかったんだ」ということを自分が認めれば、やがて自分のいる大学に納得する。中途半端にすると、原因を他に求めてしまう。自分がこの大学にいるのは家の経済のためだと言うようになる。自分がこの大学にいるのは自分のためだと思うから、自分のいる大学に納得する。そしてそのときに初めて、本当の自信が自分の中に湧いてくる。もう一度言う。自分に正直になれば、先は開ける。自分に正直になれば、問題は解決する。大切なのは、納得。自分の中に起きていることを、外で起きているように思っている限り、本当に納得することはない。いつまでたっても自分を信じることはできない。
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